診療現場の取材やコミュニティに寄せられる患者の手記を分析すると、ある典型的な行動パターンが浮かび上がります。「風邪を引いた後、咳だけが3週間以上止まらない」「夜中に咳き込んで目が覚める」という初期症状に対し、市販の風邪薬や咳止めシロップで対処しようとするケースです。
患者の手記には次のような切実な告白が並びます。
「風邪だと思い込んで咳止めを飲み続けていたが全く効かず、夜も横になって眠れなくなった。呼吸器内科を受診して喘息と診断され、専用の吸入薬を吸ったその日の夜から嘘のように眠れるようになった。もっと早く専門医にかかるべきだった」
喘息による咳は、気道のアレルギー性炎症によって気管支が過敏になり、わずかな刺激で収縮するために発生します。一般的な中枢性鎮咳薬は炎症自体を鎮める効果を持たないため、喘息で咳が止まらないときの対処法としては無力に近いと言わざるを得ません。激しい発作時には短時間作用性吸入β2刺激薬(リリーバー)による気管支拡張が救急対応として必要ですが、それは対症療法に過ぎません。
正確な鑑別を行うためには、呼気中一酸化窒素(FeNO)検査やスパイロメトリー(呼吸機能検査)を備えた呼吸器内科の専門医による診断を受けることが、遠回りに見えて最短の回復ルートとなります。