スラングが引き起こす最大の課題は、世代間・集団間における「コミュニケーションの断絶と摩擦」です。編集部がSNSの投稿分析や企業現場のヒアリングを行ったところ、スラングを巡る生々しい衝突や困惑の声が浮き彫りになりました。
大手IT企業の人事担当者への取材では、次のような事例が報告されています。
「新卒研修のグループワークで、若手社員が『これマジで詰んでますね、草』と業務チャットに書き込み、指導役のベテラン管理職が『何をふざけているんだ』と激怒するトラブルがありました。若手にとっては単なる事実の共有と緊張を和らげるスラングでしたが、上司にとっては無責任で不真面目な態度と映ったのです」(都内IT企業・人事統括担当者)
また、逆のパターンとして「若者に歩み寄ろうとした上司の空回り」も深刻な問題を生んでいます。SNSや知恵袋上では、次のようなリアルな本音が多数寄せられています。
「50代の役員がミーティングで『その企画、タイパ悪くない?ワンチャンある?』と無理に使っているのを聞いて、会議室全体が凍りついた。『痛い』を通り越して何を言いたいのか要点がボヤける」(20代後半・マーケティング職女性のSNS投稿)
スラングは特定の仲間(イングループ)における絆を強める強力な接着剤となる反面、そのコードを共有していない外部の人間(アウトグループ)に対しては強い排他性と違和感を与えてしまう両刃の剣なのです。