『グッド・バイ・マイ・ラブ』で清楚なバラードシンガーとしての評価を確立したアン・ルイスですが、彼女の真骨頂はここにとどまりませんでした。1980年、ロックミュージシャンである桑名正博と結婚(のちに1984年離婚)。この結婚生活と長男(美勇士)の出産、そして私生活での激動は、彼女の音楽性をドラスティックに変貌させる契機となります。
育児休業からの復帰後、吉川晃司やNOKKO、湯川れい子ら気鋭のクリエイターたちと結託し、ド派手なロックスタイルとエッジの効いた歌謡ロック路線へシフト。『ラ・セゾン』(1982年、作詞:山口百恵/作曲:沢田研二)、『六本木心中』(1984年)、『あゝ無情』(1986年)と立て続けにメガヒットを連発し、日本のポップシーンに「ロックの女王」として君臨しました。
過激なファッションとパワフルなロックボイスで一時代を築きながらも、ライブのアンコール等で歌われる『グッド・バイ・マイ・ラブ』は常に特別な位置を占めていました。激しいロックの対極にある原点としての繊細なバラードがあったからこそ、彼女の表現の奥行きは唯一無二のものとして大衆を魅了し続けたのです。