本作の説得力を決定づけたのは、妥協のないキャスティングと役者陣の凄まじい熱量です。ドラマ版の主要な登場人物と配役の妙を整理します。
現場取材や当時の制作発表会見において、青山貴洋監督は「佐々木蔵之介さんの日常と非日常の境界をあやふやにする佇まいこそが、このドラマのリアリティそのものだった」と振り返っています。佐々木蔵之介の圧倒的な演技力は、殴打されて血まみれになりながらも、脳内では緻密な数式を組み立てるかのように犯罪トリックを練り上げる哲雄の内面を見事に視覚化しました。
また、高橋恭平が演じた間島恭一も本作の大きな収穫でした。生き残るために狡猾に立ち回りつつも、自身の母親を養うために犯罪組織に身を置かざるを得ない若者の悲哀を、硬質な声のトーンと冷めた視線で表現。哲雄との心理的駆け引きにおいて、名優・佐々木蔵之介と対等に渡り合う緊張感を生み出しました。さらに齋藤飛鳥の娘役としての佇まいは、血生臭いサスペンスの中で唯一の「守るべき無垢の象徴」として機能し、視聴者に哲雄の動機への強い共感を促すアンカーとなりました。