時給が急激に改定された年度において多発するのが、事業主が意図的あるいは過失によって旧賃金のまま支給を続ける最低賃金法違反です。
最低賃金法第4条では、使用者は最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないと定められており、これに違反した場合は同法第40条に基づき50万円以下の罰金が科されます。また、地域別最低賃金を下回る金額で労働契約を結んでいたとしても、その契約部分は法律上無効とされ、自動的に最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。
見落としがちな盲点として注意すべきなのは、最低賃金の計算対象から除外される手当の存在です。以下の手当は、時給換算の際に算入することが法律で固く禁じられています。
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 時間外手当、深夜手当、休日出勤手当(割増賃金部分)
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)および賞与
月給制の社員であっても、「(基本給−除外手当)÷月間所定労働時間」で算出した時間額が1,003円を下回っていれば、明白な最低賃金法違反(最低賃金割れ)となります。固定残業代(みなし残業代)を含めて計算した結果、実質的な基本時給が最低賃金を割り込んでいる事例が労働基準監督署の是正勧告で頻発しており、労使双方にとって正確な知識のアップデートが不可欠です。