2011年7月24日正午、被災3県を除く全国44都道府県でアナログテレビ放送が停波し、日本のテレビ文化は地上デジタル放送完全移行という歴史的な節目を迎えました。総務省や家電メーカーによる大規模な周知キャンペーンと家電エコポイント制度の後押しにより、ブラウン管から薄型デジタルテレビへの買い替えが一気に加速しました。
しかし、メディア環境の主役交代を決定づけたのは、秋に起きたもう一つの象徴的出来事でした。10月5日、米アップルのカリフォルニア州本社から伝えられたスティーブ・ジョブズ死去のニュースです。膵臓がんによる56歳の早すぎる死は、世界中のユーザーやIT業界関係者に大きな喪失感を与えました。
ジョブズ氏の死の前日に発表された「iPhone 4S」は、音声アシスタント「Siri」を初搭載し、日本国内では従来のソフトバンクに加えてKDDI(au)が取り扱いを開始。これを境に、日本における携帯電話市場は「ガラケー(フィーチャーフォン)」からスマートフォンへと急速に雪崩を打つことになります。リビングのテレビに家族全員が集う時代から、手のひらの画面で個々人が常時インターネットと接続する新たなデジタル文明への不可逆な転換が、2011年に完了したと言えます。