遠野なぎこ氏が抱える過酷な生きづらさの原点は、実母から受け続けた常軌を逸した虐待行為にあります。幼少期から子役として活動を開始した遠野氏に対し、母親はステージママとして厳格に振る舞うだけでなく、家庭内では激しい暴力と心理的ネグレクトを繰り返していました。
本人が手記や情報番組の密着取材で語った証言によると、母親は毎日のように鏡の前に立たせ、「ブス」「太っている」「醜い」といった暴言を執拗に浴びせかけたといいます。特に決定的なトラウマとなったのが、小学校高学年から中学生にかけて、母親から「太ったら仕事がなくなる」「食べたら吐きなさい」と教え込まれ、喉の奥に指を突っ込んで嘔吐することを強要されたという事実です。
この歪んだ容姿管理と愛情の条件付けは、彼女の心身を深く蝕みました。15歳頃には拒食症と過食嘔吐を繰り返す摂食障害を発症。母親の機嫌を損ねれば激しい殴打を受け、冬のベランダに締め出されるなどの身体的暴力も日常茶飯事でした。家庭内には母親が連れ込む交際相手の男性が頻繁に出入りし、家庭が安全なシェルターとして機能することは一度もありませんでした。
成長期に受けた「条件付きの受容」と暴力は、健全な自己肯定感の形成を完全に破壊しました。大人になってからも続く過食嘔吐、強迫性障害、アルコールへの依存といった重複する精神的苦痛は、すべてこの時期の過酷な母子関係によって植え付けられた後遺症に他なりません。