幹線道路の合流車線や車線変更の際、進路を譲ってくれた後続車に対してハザードを2〜3回点滅させる、いわゆる「サンキューハザード」。多くの人が「ドライバー同士の美しいマナー」と捉えていますが、法律の文面を厳密に解釈した場合、違法性を問われる余地はないのでしょうか。
結論から言えば、現在の道路交通法には「お礼としてハザードを点滅させてはならない」と直接禁止する条文は存在しません。しかし同時に、「感謝を表すために点灯させてよい」という規定も一切存在しないのが実態です。道路交通法第54条(警音器の使用制限)のようにクラクションの目的外使用を罰則付きで禁じる明確な条文とは異なり、非常点滅表示灯の合図制限については解釈が分かれるグレーゾーンとして長年扱われてきました。
しかし、警察関係者や交通事故鑑定の専門家への取材取材によると、2026年現在の交通取り締まりや事故捜査の現場では、次のような決定的なリスクが指摘されています。
「ハザードスイッチを探して視線を手元に落としたわずか1秒の間に前車が減速し追突したケースや、お礼の点滅を後続車が『前方に障害物があり緊急停車する合図』と誤認して急ブレーキを踏み、後続車が玉突き事故を起こしたケースでは、道路交通法第70条(安全運転義務違反)が適用されます。形式的な点灯そのものを取り締まることはなくても、合図の不適切さによって交通の危険を生じさせた場合は、明白な違反として反則金や行政処分の対象になります」
SNS上でも「合流で入れてあげたのに突然ハザードを焚かれて急ブレーキを踏まされ、肝が冷えた」「消し忘れのまま走り続けられて左折するのか進路変更するのか分からず危険だった」というリアルな怒りの声が日常的に投稿されています。善意から出た行動であっても、周囲に不必要なブレーキ反応や判断の迷いを生じさせる行為は、防衛運転の観点から推奨されるものではありません。