山の日が「8月11日」に決定したプロセスには、歴史的な配慮と紆余曲折がありました。検討が始まった当初、超党派の議員連盟内で最有力視されていたのは「8月12日」でした。8月13日から始まる一般的なお盆休みの前日であり、連休化しやすく国民生活への浸透が早いと考えられたためです。
しかし、この8月12日案に対して、地方自治体や遺族関係者から慎重論が噴き出しました。1985年(昭和60年)8月12日は、乗客乗員520名が犠牲となった日本航空123便墜落事故(御巣鷹の尾根)が発生した日だったからです。現場となった群馬県上野村や事故遺族にとって、8月12日は悲しみと鎮魂の祈りを捧げる極めて厳粛な日であり、「山を祝う祝日にするのは受け入れがたい」という強い懸念が表明されました。
国会における審議の過程で、関係自治体や遺族感情への配慮を最優先すべきとの判断が下され、最終的に日付を1日前倒しした「8月11日」へと変更されたという歴史的背景があります。
なお、8月11日という数字の組み合わせについては、漢数字の「八」が山の裾野の形に見えること、そして「11」が立ち並ぶ木々の姿を連想させるという親しみやすい理由も後押しとなり、国民各層へ広く受け入れられる要因となりました。