世界的な統計でも0.001%未満とされる「紫」「赤」、そして左右の目の色が異なる「虹彩異色症(オッドアイ)」は、遺伝的要因や発生段階の事象が重なって生じる極めて稀な現象です。
紫の目と赤い目の真相:アルビノと血管の透過
「紫の瞳」として伝説的に語られた大女優エリザベス・テイラーの例のように、深い青灰色の瞳に特殊な照明が当たることで青紫に見えるケースは実在します。しかし、真の紫の目や赤い目の発現は、遺伝的要因による先天性白皮症(アルビノ)に深く関連しています。
アルビノでは、メラニン合成酵素の欠乏により虹彩や網膜の色素が極度に失われます。色素が完全に欠落している場合、眼球深部の網膜血管がそのまま透けて見え、血液の色である「赤」が瞳に現れます。一方、極めて微量のメラニンが残存している場合、血管の「赤」と微細構造による散乱光の「青」が混ざり合い、神秘的な「紫(バイオレット)」の瞳が誕生します。
オッドアイ(虹彩異色症:Heterochromia)が起こる3つの原因
左右で瞳の色が異なる「オッドアイ」は、医学用語で虹彩異色症と呼ばれます。左右の虹彩でメラニン色素の定着量に著しい差が生じることで発生し、以下の3パターンに分かれます。
- 先天性虹彩異色症:胎児の発生段階における神経堤細胞の遊走異常や、ワールデンブルグ症候群などの遺伝性疾患に伴って発症するもの。
- 後天性虹彩異色症:生後の外傷、ホルネル症候群、片側性のブドウ膜炎、眼圧降下薬の副作用などによって片目のみメラニン沈着が変化するもの。
- 中心性/部分性虹彩異色症:同一の瞳の中で、瞳孔周辺と外周部で色が異なる(中心性)、あるいはパイ状に一部だけ別の色が混ざる(部分性)パターン。