寺田農さんは1942年11月7日、東京・板橋に生まれました。父は日本の近代洋画界を代表する洋画家・寺田政明氏であり、幼少期から絵画や文学など前衛的な芸術に囲まれて育ちました。この家庭環境が、寺田さんの持つ特異な美意識と深い洞察力の礎となったことは間違いありません。
早稲田大学政治経済学部を中退後、名門「文学座」の研究所に入所。同期には錚々たる演劇人が名を連ねる中、1968年に岡本喜八監督の映画『肉弾』の主役に抜擢されます。戦争の不条理を全身で体現した演技は映画界に衝撃を与え、第23回毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。一躍、日本映画界の若き実力派として確固たる地位を築きました。
その後も劇団雲、演劇集団 円の創立メンバーとして舞台を中心に活動しながら、大河ドラマやサスペンスドラマ、時代劇の悪役まで幅広いジャンルで強烈な存在感を放ち続けました。