ネット上の情報には、時に極端な誇張や古い情報が散見されます。「イタリアではスリに遭うから現金を持たない方がいい」「完全キャッシュレスで現金は1ユーロもいらない」という言説はその典型です。
イタリアは急速にキャッシュレス化が進んでおり、地下鉄の改札やタクシー、少額のジェラートに至るまでクレジットカードのタッチ決済が普及しています。しかし、「現金ゼロ」での渡航は極めて危険です。前述したホテルの滞在税の支払いや、公衆トイレの有料ゲート(0.5〜1ユーロの硬貨専用機が多い)、地方の個人商店や露店などでは、現在でも現金決済のみを求められる場面に遭遇します。1人あたり1日10〜20ユーロ程度の小額紙幣・硬貨を常に携行するのが実用的な防衛策です。
また、「街中の水道水は飲めないため高価なペットボトルを買い続けなければならない」というのも誤解です。ローマをはじめとするイタリアの主要都市には「ナゾーネ(Nasoni)」と呼ばれる公共の水飲み場がいたる所に設置されています。古代ローマの水道技術を受け継ぐ冷たく清潔な天然水が24時間流れており、現地住民や事情を知る旅行者はマイボトルを持参して給水しています。1日あたり数百円の飲料代を浮かせられるだけでなく、脱プラスチックの観点からも推奨される現地の知恵です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
旅行ジャーナリズムおよび行動経済学の観点から見ると、旅費に対する満足度は「事前の期待値」と「自己決定感」のバランスによって決定されます。2026年のイタリア渡航において、個人手配を選ぶべき人と、慎重にツアー等を検討すべき人の境界線は明瞭です。
【個人手配をおすすめできる人】
- 情報収集と事前計画自体を楽しめる人:高速鉄道や美術館の予約を英語・イタリア語の公式Webサイトから自力で手配できるデジタルリテラシーがある。
- 現地の日常に溶け込みたい人:スーパーでの買い出しや下町のバールでの立ち飲みなど、飾らないローカル体験に価値を感じられる。
- 突発的なトラブルに柔軟に対処できる人:電車の遅延やストライキが発生した際、慌てずに別ルートを検索できる心理的余裕がある。
【添乗員付きツアー等に慎重に移行すべき人】
- 語学や海外での移動に強いストレスを感じる人:異国の地でのトラブル対応が精神的な疲弊につながり、旅行全体の満足度を著しく損なう恐れがある。
- タイトなスケジュールで名所を効率よく巡りたい人:限られた日数で並ばずに有名観光地を確実に網羅したい場合、プロが導線を管理するツアーの方が時間対効果が高い。