エランドール賞が世間一般に広く知られる最大の理由は、花形部門である「新人賞」の存在です。メディアで「若手俳優のブレイクを決定づける最大の登竜門」と形容される背景には、極めて実利的な業界力学が働いています。
エランドール賞の選考基準において、新人賞の審査対象となるのは原則として前年12月から当該年11月までの1年間に公開・放送された作品に出演した俳優です。ここで重要なのは「デビュー1年目」に限定されていない点です。下積み時代がどれほど長くとも、その年に決定的な飛躍を遂げ、優れた演技力と現場での強い求心力を示した人物が抜擢されます。
審査の核となるのは、日本映画テレビプロデューサー協会に所属する数百名の現役プロデューサーによる記名投票です。一般読者によるウェブ投票やSNSの拡散数ではなく、日々過酷な撮影現場で予算とスケジュールを背負い、俳優の人間性やプロ意識を肌で知る制作者たちが一票を投じます。「次の企画で主役に据えたいか」「プレッシャーのかかる現場を背負える器があるか」というシビアなビジネス視点と審美眼が交差するため、ここでの戴冠は業界内での「主役級への正式パスポート」を意味します。