『TIGER & BUNNY』という前代未聞の「スポンサーロゴを背負った職業ヒーロー活劇」は、どのようにして動き出したのでしょうか。TIGER & BUNNYの制作経緯を辿ると、プロデューサーの尾崎雅之氏をはじめとする制作陣の並々ならぬ熱意と、桂正和氏の特撮・アメコミへの深い造詣が結びついた必然の巡り合わせが見えてきます。
当時、サンライズ側が目指したのは「大人の鑑賞に堪えうる本格的なバディヒーローもの」でした。そこで白羽の矢が立ったのが、リアルな人体デッサン力と繊細な美少女描写、そしてヒーロースーツ造形において漫画界随一のセンスを誇る桂正和氏でした。桂正和とサンライズのコラボは、単なるキャラクターの顔の描き起こしにとどまらず、スーツの機能美やシルエット、マテリアルの質感に至るまで、アニメーションの枠組みを超えた共同作業としてスタートしました。
当時のインタビューや関係者の証言によると、桂氏はオファーを受けた際、多忙を極める連載スケジュールの合間を縫って「やるからには妥協しない」という強い覚悟で臨んだといいます。この徹底した職人魂が、放送から10年以上が経過した現在も色褪せないキャラクター造形を生み出す基盤となりました。