1990年代後半、モデルから俳優への転身は決して珍しいことではなかった。しかし、その多くがモデル時代のパブリックイメージを払拭できずに苦戦する中、彼女が放った存在感は異彩を放っていた。大きな転機となったのは、沖縄の離島を舞台にした名作映画『ナビィの恋』(1999年)だ。南国の強い日差しと独特の空気感の中で、島に帰ってきたヒロインを瑞々しく、それでいてどこか切なく演じきった姿は、当時の映画ファンや批評家の心を強く揺さぶった。
モデル特有の洗練されたスタイルを持ちながら、画面に立ち現れたのは「着飾ったモデル」ではなく「その土地の風に吹かれて生きる等身大の女性」だった。この作品での演技が高く評価され、ヨコハマ映画祭主演女優賞をはじめとする数々の映画賞を獲得。単なるビジュアルの美しさに頼らない、本格派俳優としての揺るぎない土台がここで確立された。