消石灰と苦土石灰の違いとは?失敗しない散布時期と使い分けの真相

消石灰と苦土石灰の違いとは?失敗しない散布時期と使い分けの真相

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「土を中和するならどちらを使っても同じではないか」という認識は、最も危険な思い込みです。農林水産省の肥料取締法に基づく公定規格においても、消石灰と苦土石灰は原料および保証成分の面で明確に区別されています。

消石灰の主成分は水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)であり、石灰石を高温で焼成した生石灰に水を反応させて作られます。アルカリ分は約65%〜75%と非常に高く、土壌に投入すると瞬時に水に溶けて土壌溶液のpHを急激に引き上げます。土壌酸度の矯正力が強烈である一方、急激な環境変化は土中の微生物相に打撃を与え、作物の根を直接痛めつける「アルカリ焼け」を引き起こしかねません。

対して苦土石灰は、ドロマイト(苦灰石)と呼ばれる鉱石を粉砕・焼成したもので、主成分は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム(CaCO₃・MgCO₃)です。「苦土(くど)」とは肥料用語でマグネシウム(Mg)を指し、アルカリ分は約50%〜55%、苦土成分を10%〜15%程度含有しています。炭酸塩の形をとっているため水に溶けにくく、土壌中の酸によって少しずつ中和作用を発揮する「緩効性(かんこうせい)」が最大の特徴です。

両者の決定的な差異は、中和スピードとマグネシウム補給の有無にあります。消石灰はカルシウムの補給と急速な酸度矯正のみを目的とする単機能の資材ですが、苦土石灰は緩やかなpH調整と同時に、植物の生長に欠かせない重要ミネラルを供給する複合機能を備えています。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。