警察組織の中で、私服で捜査を行う部門としては刑事部と公安部が双璧を成します。しかし、公安と刑事の服装の違いを比較すると、その目的の違いから真逆のアプローチが取られていることが分かります。
強行犯係や組織犯罪対策部などの刑事は、被疑者への威圧感や現場制圧力を求められる場面が少なくありません。そのため、仕立ての良いダークスーツ、革ジャケット、迫力のある体躯を強調する服装など、ある種「警察官らしさ」「迫力」が滲み出る傾向があります。
対して公安捜査員は、「警察官らしさを完全に消し去ること」を目的としています。体型が分かりにくいゆったりとしたシルエットを選び、目線や立ち姿に至るまで一般市民の気配を模倣します。取り調べや家宅捜索など公の場に出る際も、刑事のような威圧的なスーツではなく、地味で清潔感のある一般的なビジネススーツを着用するのが通例です。