実写映画化にあたり、最大の焦点となったのは「誰が佐藤愛子を演じるのか」という点だった。その大役に挑んだのが、日本を代表する名女優・草笛光子だ。オファーを受けた当時、奇しくも原作者と同じく90歳を迎えていた草笛は、全身全霊を傾けてエネルギッシュな主人公を体現。背筋を伸ばし、歯に衣着せぬ物言いで周囲を圧倒する姿は、まさにハマり役と絶賛された。
メガホンをとったのは、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』や『老後の資金がありません!』などで知られるヒットメーカー、前田哲監督だ。重くなり勝ちな「高齢化社会」や「断絶」というテーマを、誰もが心から笑って泣ける極上のコメディ映画へと昇華させた。テンポの良い演出とエモーショナルな人間ドラマの融合は、前田監督の手腕が冴え渡る傑作と言える。