連載完結時、読者コミュニティを騒然とさせたのがその結末の真相です。蓮は有馬に対し、物理的な暴力で復讐を遂げる道を選びませんでした。彼が選んだのは、有馬の尊厳を根底から剥ぎ取り、自分なしでは息もできない廃人に仕立て上げることでした。
物語のクライマックスにおいて、有馬は蓮の底知れない執着と冷徹な加虐性に精神を完全に破壊されます。かつて自分が幼い少年に施した調教の数々を、何倍もの狂気となって蓮から浴びせられることになります。最終的に有馬は、蓮の存在に縋り付かなければ自己を保てない極限状態へと追い込まれました。
この戦慄の幕切れが最終回の理由として選ばれた背景には、作者・はらだ氏の「傷を負った人間が、綺麗事のセラピーで救われるはずがない」という冷徹なリアリズムがあります。蓮にとっての救済とは、過去を忘れて前を向くことではなく、自分を壊した元凶を完全に飼い慣らし、地獄の底で永遠に共生することでした。読後感に広がる圧倒的な重苦しさは、二人が選んだ共依存の契約が誰にも引き裂けない絶対的なものであると見せつけられるからに他なりません。