髪の毛先に枝分かれを見つけた瞬間、指先でつまんでピリピリと裂いてしまったり、根元からブチッと引き抜いてしまったりした経験を持つ人は少なくありません。大手美容ポータルサイトの意識調査によると、ヘアダメージに悩む女性の約68%が「過去に枝毛を自分で裂いたことがある」と回答しています。
しかし、この行為は毛髪にとって壊滅的なダメージをもたらします。
- 断面の崩壊と裂け目の急激な進行:ハサミを使わずに指で裂くと、毛髪繊維がギザギザに引きちぎられ、断面の表面積が数倍に広がります。露出したコルテックスから水分とタンパク質が急激に抜け落ち、裂いた位置よりもさらに数センチ上まで新たな枝毛が瞬時に広がります。
- 毛根と頭皮への物理的破壊:気になって毛髪を引き抜くと、毛乳頭や毛母細胞が傷つき、毛穴周辺の炎症を引き起こします。これが繰り返されると毛周期が狂い、次に生えてくる毛がうねった弱々しい毛(縮毛・軟毛)に変質する原因になります。
なぜ人は枝毛を裂きたくなってしまうのでしょうか。行動心理学および心身医学の観点から見ると、枝毛を指先で探して裂く行為は、「軽度のストレス反応や無意識の緊張緩和を求める代償行動(常同行動)」として説明されます。指先に伝わる独特のプチッという触覚刺激や、不快な引っかかりを排除した瞬間の快感が脳内で一時的なドーパミン報酬を生み出し、無意識の癖として定着してしまうのです。
この悪循環を断ち切るには、「毛先に触れる癖を意識化する」「毛先が気になったら手で裂くのではなく、手元に裁縫用や事務用ではない美容用カットシザーを置き、直角に切り落とす」という物理的な行動置換が極めて有効です。