同じメチル水銀中毒でありながら、熊本水俣病と新潟水俣病には地理的環境や被害の広がり方に明確な違いが見られます。
第一の相違点は発生場所と地理的条件です。熊本水俣病は閉鎖性海域である「不知火海(海域)」で発生したのに対し、新潟水俣病は内陸を流れる一級河川「阿賀野川(河川流域)」で発生しました。流水である河川での公害発生は、毒物が海へ急速に流亡するため被害が局所化しにくいと考えられていましたが、実際には川底の泥や魚介類に長期間残留し、流域住民へ深刻な被害をもたらしました。
第二の相違点は原因企業と工程です。熊本はチッソ水俣工場、新潟は昭和電工鹿瀬工場によるアセトアルデヒド製造排水が原因でした。新潟ではすでに熊本での前例があったため、原因究明のスピード自体は熊本に比べて早かったものの、工場排水の即時停止措置が遅れたことで被害が拡大した点には厳しい批判が集まりました。