和名で「紅水晶(べにすいしょう)」と呼ばれるローズクォーツの石言葉は、一般に「真実の愛」「美」「優しさ」「母性」と定義されます。愛の告白や良縁を祈願するお守りとして定着していますが、そのルーツを辿ると単なる恋愛祈願にとどまらない崇高な精神性が見えてきます。
この鉱物にまつわる代表的な物語が、ギリシャ神話に登場する愛と美の女神アフロディーテの伝説です。アフロディーテが愛した美青年アドニスが猪に襲われて命を落とした際、彼を救おうとして茨に身を裂かれたアフロディーテの流した血が白い水晶を淡いピンクに染め上げたという逸話が伝えられています。この起源が示す通り、ローズクォーツが象徴する愛とは、軽薄な好意ではなく、自らの痛みを伴ってでも他者を慈しむ純然たる情熱でした。
また、宝飾業界においてオパールやピンクトルマリンと並び、親しみやすい10月の誕生石としても知られています。10月生まれのパーソナルストーンとして選ばれるだけでなく、内面の美しさを磨き、寛容な心を育む象徴として重宝されてきた歴史があります。