本作の最大の推進力となったのが、名プロデューサー・石井ふく子の手腕によって集結した、昭和を代表する名優たちによるアンサンブルキャストです。吉川家と水島家という2つの家族を軸に、周囲の商店街住人たちが織りなす関係性は、まさに人間ドラマの理想形といえます。
主演の水前寺清子は、第1シリーズの警察官、第2シリーズの看護師、第3シリーズの魚屋に続き、本作では庶民的なカレー店の娘を熱演しました。その持ち前の明るさと歯切れの良い台詞回しは、視聴者に明日への活力を与え続けました。対する石坂浩二は、清潔感と大人の包容力を兼ね備えた獣医役を好演。2人の軽妙かつ情感豊かな掛け合いは、日本のテレビドラマ史における屈指の名コンビとして確立されています。
そして脇を固める布陣も圧巻です。母親役として圧倒的なリアリティと情愛を見せた山岡久乃、頑固ながら家族への情に厚い水島家の父を演じた佐野浅夫、物語に軽快なリズムと笑いをもたらした井上順をはじめ、大空真弓、沢田雅美、中田喜子、岡本信人、児玉清といった石井組の常連実力派俳優陣が、血の通った人間ドラマを完璧に構築しました。