経済産業省の『商業動態統計』などを紐解くと、日本の卸売業の年間販売額は小売業の約3倍規模に達します。この圧倒的な取引高を生み出す基本構造は以下の通りです。
【基本的な流通の仕組み構造】
【メーカー(製造業者)】
↓(大量一括発注・長距離輸送)
【一次卸(ナショナルホールセラー)】
↓(エリア仕分け・中口配送)
【二次卸(ローカル・専門問屋)】(※商材や商圏により介在)
↓(小口多頻度納品・店頭フォロー)
【小売業者(スーパー・コンビニ・専門店等)】
↓(店頭販売・EC発送)
【最終消費者(一般個人)】
ここで重要な論点となるのが一次卸と二次卸の違いです。一次卸はメーカーから直接仕入れる権利を持ち、全国規模のメガ物流センターを構えて数百億円〜数千億円規模のバイイングパワーを行使します。対して二次卸は、一次卸から仕入れた商品を、地方都市の個人商店、小規模な飲食店、特定の町工場など、メガ卸の手が届きにくいニッチな販路へきめ細かく納品する役割を担っています。
卸売業が存在することで実現している「サプライチェーン流通機能」には、大きく5つの柱が存在します。
- 商流機能(取引の簡素化):数百社のメーカーと数千店舗の小売店が個別契約を結ぶ手間を省き、取引関係を一元化する。
- 物流機能(アソートメントと小口配送):メーカーからパレット単位で届いた荷物を開梱し、店舗ごとの要望に応じて「ビール1箱、調味料3本、菓子5袋」といった組み合わせ(詰め合わせ)を作って届ける。
- 金融機能(与信管理・売掛金決済):小売店への売掛金の回収リスクを肩代わりし、メーカーには期日通りに代金を支払う。零細店舗の資金ショートを防ぐ信用供与の役割を果たす。
- 情報機能(市場データのフィードバック):POSレジの購買データや現場の在庫状況を収集し、メーカーに「今、何が売れているか」を伝えて次期生産計画を支える。
- リスク負担機能(在庫と需給のバッファー):天候不良や突発的な需要急増時でも欠品を出さないよう、自社倉庫に安全在庫を抱えて価格乱高下の防波堤となる。