近年、この問題をさらに複雑化させているのが韓国の司法判断です。慰安婦問題の賠償判決をめぐり、韓国国内の裁判所において判断が二分する異例の事態が発生しました。
主たる争点は、外国の行為について自国の裁判権を及ぼすことができないとする国際法上の大原則「主権免除(国家免除)」の適用可否です。
- 2021年1月(ソウル中央地裁):「重大な人道に対する罪には主権免除は適用されない」として、日本政府に対し原告1人あたり1億ウォンの賠償を命じる判決。
- 2021年4月(同地裁・別法廷):「主権免除の原則は維持されるべき」として、原告の訴えを却下(日本の主張に沿う判断)。
- 2023年11月(ソウル高裁・控訴審):一転して原告逆転勝訴の判決を下し、日本政府への賠償命令が確定。
慰安婦問題の最新ニュースにおいて、日本政府は「国際法違反の異常な判決」として一貫して裁判自体を認めず、上告も行わない姿勢を貫いています。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は2015年合意を両国の公式合意として尊重する立場を示していますが、司法と行政のねじれが解消されたわけではなく、日本企業の資産差し押さえ等のリスクは依然としてくすぶり続けています。