往路の趨勢を決定づけるのが、各校の最高戦力が激突するエース区間2区配置と、特殊区間である山登り5区適性の2大関門です。ここで後れを取ると、いかに復路に戦力を残していても致命的なタイム差をつけられてしまいます。
「花の2区」(23.1km)は、各大学の誇る大黒柱が勢揃いする伝統の舞台です。中盤の権太坂、そして終盤に待ち構える戸塚中継所手前の通称「戸塚の壁」(ラスト3kmの激しいアップダウン)を乗り切るためのスピード持続力と無尽蔵のスタミナが求められます。各校の区間賞候補の真相を探ると、単なる10000mの公認記録だけでなく、他校のエースと競り合っても動じないメンタルのタフさや、強風への対応力が選定基準において極めて重視されています。
一方、箱根路最大の特殊区間である5区(20.8km、標高差800m超)は、平地の走力と山登りの適性が必ずしも比例しない過酷なステージです。急勾配を登り切るための体幹の強さ、前傾姿勢を維持できる独特のピッチ走法、そして標高上昇に伴う気温急減への適応力が不可欠となります。「山の神」と呼ばれるランナーたちが歴史を作ってきたように、5区で区間記録レベルの選手を擁するチームは、それだけで往路優勝へ大きく前進します。各校の首脳陣が夏合宿から綿密な適性テストを重ね、秘密裏に育て上げたスペシャリストを投入する瞬間は、往路最大のハイライトと言えます。