人工冬眠技術の実用化が最も切望されている現場は、深宇宙探査と高度救急医療の2大領域です。
JAXAやNASA、ESA(欧州宇宙機関)が進める有人火星探査計画において、宇宙飛行士を一定期間人工冬眠させることができれば、往復に必要な食料・水・酸素のペイロード(積載量)を劇的に削減できます。さらに、冬眠中は代謝が下がることで宇宙放射線によるDNA損傷の自己修復能力が高まる可能性や、閉鎖空間での精神的ストレスを回避できるメリットが指摘されています。
医療現場においては、心筋梗塞や脳卒中、重度の外傷を負った患者に対し、搬送中や手術までの間に人工冬眠を導入することで、虚血による脳細胞の壊死を食い止め、「不可逆的な死のタイムリミットを劇的に引き延ばす」救命技術としての期待が高まっています。