事件や事故が発生した際、X(旧Twitter)などのSNSには「長岡駅の東口方面で黒煙が上がっている」「〇〇町付近が消防車で封鎖されている」といった投稿が即座にアップロードされます。こうしたネットの反応と目撃情報は、現場の切迫感を視覚的に伝える有益な側面を持つ一方で、重大な落とし穴を孕んでいます。
第一の罠は「位置情報の誤認」です。高層建築物や煙の柱は、数キロメートル離れた場所からでも目前にあるかのように錯覚されます。実際には隣接する別の行政区や河川敷の野焼きであるにもかかわらず、「〇〇スーパーの裏手が火事」といった不正確な情報が拡散され、周辺住民に不要なパニックを引き起こす事例が後を絶ちません。
第二の罠は「情報の鮮度消失」です。SNSのアルゴリズム上、インプレッション数の多い投稿が何時間もタイムラインの上部に残り続けることがあります。そのため、すでに火勢が鎮圧され現場検証へ移行しているにもかかわらず、「現在も猛烈に延焼中」という過去のポストを見て不安を募らせるユーザーが続出するのです。
さらに深刻な社会的弊害が、野次馬的な関心から生じる消防業務への妨害です。火災の場所を知りたいがために「119番に電話をかけて火事の場所を聞く」という言語道断な行動をとる市民が今なお存在します。119番は人命救命専用の回線であり、問い合わせで回線が塞がれれば、心肺停止や家屋内に取り残された人の救助要請が届かなくなります。出動情報の確認には、必ずWebサイトや長岡市防災メール、専用のテレホンサービスを利用し、緊急回線への発信は厳に慎まなければなりません。