華々しいデビューを飾ったものの、当時の80年代中盤はアイドル氷河期へと向かう過渡期であり、新人歌手が歌番組だけで生き残ることは困難を極めていました。デビューから数年が経つとヒット曲に恵まれず、ついには所属事務所から「福岡の実家へ帰るか」と、事実上の戦力外通告(リストラ宣告)を突きつけられる事態に追い込まれます。
自著や当時の特番インタビューにおいて、彼女は「歌手を辞めて田舎へ帰るくらいなら、どんな仕事でもやります」と涙ながらにスタッフへ懇願した過去を明かしています。そこで活路を見出したのが、当時まだ女性タレントが本格参入していなかった「バラエティ番組での体当たりロケ」でした。
フジテレビ系『ものまね王座決定戦』での憑依的なパフォーマンスをはじめ、雄牛との綱引き、街頭でのゴミ拾いロケ、早朝バズーカの標的になるなど、持ち前の機転と明るさでNGなしの奮戦を展開。井森美幸さんや山瀬まみさんらとともに「バラドル(バラエティ・アイドル)」という新たなジャンルを確立し、一躍お茶の間の人気者へと上り詰めました。
しかし、彼女の心の中心には常に「歌」がありました。バラエティの頂点に君臨しながらも発声練習を一日も欠かさなかった努力が、1991年に結実します。映画『機動戦士ガンダムF91』の主題歌『ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜』をリリースすると、有線や口コミから火がつき、オリコンチャート週間9位を記録。自身初となるオリコンベスト10入りを果たし、その年の『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たしたのです。バラドルとして笑いを取っていた彼女が、ステージ上で圧巻のバラードを歌い上げる姿は、全国の視聴者に深い感動を与えました。