ジャンプ・コミックスの売り場に並ぶ書籍の多くは、店頭で読者の目を引くために賑やかな色彩や迫力あるキャラクターのカットインを詰め込むのが一般的だ。しかし、この30巻の表紙を開いた時、読者が目にしたのは一面の「余白」であった。
中央にポツリと描かれた小さなコマと、圧倒的な白の空間。一見するとシンプル極まりない構成だが、これこそが過酷を極めた物語の決着を象徴する演出にほかならない。熱狂的な盛り上がりを見せたストーリーの極限状態で、あえて「音を消す」ような表現を選び取る感覚。冨樫氏の卓越したデザインセンスは、市販のコミックスというグラフィック媒体の可能性を大きく拡げたといえる。