改めて振り返ると、当時のキャスティングは恐ろしいほどの先見の明に満ちていた。ヒロインのめんま(本間芽衣子)を演じたのは、当時まだ10代半ばだった浜辺美波。無邪気さと儚さを全身から発散させ、どこか現実離れした透明感を放っていた彼女の芝居は、まさに原作から抜け出してきた妖精そのものだった。
一方、トラウマを抱えて引きこもる主人公・じんたん(宿海仁太)役を務めた村上虹郎は、思春期特有の苛立ちと脆さをリアルな息遣いで体現。今や日本映画界に欠かせない実力派として名を馳せるふたりが、真っ向から感情をぶつけ合っていた事実は奇跡に近い。志尊淳や松井愛莉、飯豊まりえといった共演陣も含め、これほど贅沢なアンサンブルをひとつの画面に収めた青春ドラマは、後にも先にも滅多に見られない。