ヤマハ(YAMAHA)やアウロス(AULOS/トヤマ楽器製造)が発行する公式運指表に基づき、最も実用的なソプラノとアルトのファ♯の押さえ方を整理します。リコーダーの孔番号は、裏面の親指孔を「0」、上から順に左手人差し指を「1」、中指を「2」、薬指を「3」、右手人差し指を「4」、中指を「5」、薬指を「6」、小指を「7」と表記するのが標準規格です。
1. ソプラノリコーダー(ジャーマン式)のファ♯運指
学校現場のソプラノ(ジャーマン式)における「低いファ♯」は、以下のいずれかのパターンを選択します。
- 基本運指:0, 1, 2, 3, 5(左手親指・人差し指・中指・薬指 + 右手中指のみを押さえ、右手人差し指[4]を開ける)
- 補正運指(音程がぶら下がる場合):0, 1, 2, 3, 5, 6(右手中指と薬指を押さえる)
ジャーマン式において右手人差し指を開ける運指は、音響学的に不安定になりやすい特徴があります。音程が暗く沈む場合は、息のスピードをやや速めにして補正する意識が求められます。
2. ソプラノリコーダー(バロック式)のファ♯運指
バロック式における「低いファ♯」は、美しい響きと安定したピッチが得られるフォーク運指です。
- 基本運指:0, 1, 2, 3, 4, 5, 7(右手の薬指[6]だけを開け、小指[7]のダブルホールの両方を塞ぐ)
薬指を浮かせたまま小指を確実に塞ぐ必要があるため指の独立運動が求められますが、音程の安定度はジャーマン式を遥かに凌駕します。
3. 第2オクターブ「高いファ♯」の運指(ソプラノ共通)
高音のファ♯は、楽曲のクライマックスで頻出するにもかかわらず難易度が跳ね上がります。
- 基本運指:親指サミング(半分開ける), 1, 2, 3, 5
低いファ♯の運指に裏面の親指サミングを加えた形ですが、右手人差し指を開けた状態で楽器を保持しなければならないため、管体がグラつきやすくなります。右手の親指(楽器の裏を支える指)の位置を固定し、唇・右手親指・押さえている指の3点で楽器を安定させることが不可欠です。
4. アルトリコーダーにおける「ファ♯」の押さえ方
中学校で手にするアルトリコーダーは「F管」であるため、ソプラノ(C管)とは音名と運指の関係が完全に入れ替わります。アルトリコーダーで実音の「ファ♯」を吹く場合、ソプラノの「シ」に相当する運指(0, 1のみ)を押さえることになります。
逆に、アルトリコーダーで記譜上の「シ(H)」のポジションを吹くと、実音としてファ♯が鳴るという関係性になります。中学生が「ソプラノと同じ指使いで吹いたら全く違う音が出た」と混乱するのはこの移調楽器としての性質が原因です。