当時の特番インタビューや自著・制作手記において、宮崎駿監督は本作に込めた思想を繰り返し語っています。1990年代後半のバブル崩壊、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件などを経て混迷を極めていた日本社会に対し、監督は「勧善懲悪のハッピーエンドを描くことはもはや欺瞞である」と断言していました。
「だれにも運命はかえられない。だが、見定めることはできる」という言葉は、安易な希望論を完全に否定したところから出発しています。自分の力ではどうにもならない戦争、天災、理不尽な病魔に襲われたとき、人間は何を拠り所にすべきなのか。
SNSや考察コミュニティでも、このセリフに対する共感の声は時代を超えて絶えません。「子どもの頃は冷たい言葉だと思っていたが、社会に出て不条理を味わってから最も胸に刺さる言葉になった」「変えられない現実に絶望するのではなく、どう生きるかを選ぶ姿勢に救われた」といった反響が多く見られます。ヒイ様が伝えたかったのは、受動的な諦めではなく、現実を直視した上での強靭な意志だったのです。