火のないところに煙は立たないと言われますが、ネット空間では「無関係な複数の事象が結合して全く新しいデマが生まれる」ケースが日常茶飯事です。今回の宇部商・藤井氏にまつわる死亡説が膨らんだ背景には、3つの明確な要因が存在します。
第一に、同姓同名あるいは近しい球界関係者の訃報との混同です。日本のプロ野球界やアマチュア野球界には「藤井」姓の名選手や指導者が多く存在します。近年、他校の往年の指導者や元プロ野球選手の訃報が相次いで報じられた際、昭和の高校野球ファンが「あの宇部商の藤井選手ではないか」と誤認して検索をかけた形跡が見受けられます。
第二に、検索アルゴリズムが引き起こすサジェスト汚染です。往年の名選手の名前を入力した際、「現在」「今」といったワードとともに、クリック率の上がりやすい「病気」「死去」「死因」といったネガティブワードが候補として提示される現象が多発しています。読者がその候補をクリックすることで検索エンジンが「関連性の高い重要ワード」と誤学習し、悪循環が形成されてしまいました。
第三に、宇部商業野球部を取り巻く時代の変化です。名将として知られた玉国光男監督の勇退や、近年の高校再編・学校統合の議論など、母校にまつわる大きなトピックがネットニュースになるたびに、黄金期を支えた甲子園メンバーの安否を気遣うファンが一斉に検索をかけたことも、関連ワード浮上のトリガーとなりました。