「溺れる者は藁をも掴む」の真意とは?由来と英語表現・誤用を徹底解明

「溺れる者は藁をも掴む」の真意とは?由来と英語表現・誤用を徹底解明

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このことわざを耳にした際、「なぜ木切れや竹ではなく、頼りない藁なのか」と疑問を抱く方は少なくありません。溺れる者は藁をも掴む 由来を紐解くと、この言葉が東洋の仏教説話や中国の古典四字熟語ではなく、西洋文化圏からの借用語であるという意外な事実に行き着きます。

溺れる者は藁をも掴む 語源となったのは、英語圏で古くから伝わる伝統的な格言「A drowning man will clutch at a straw」(溺れる男は藁にでも掴みかかる)です。文献上の記録としては、16世紀イングランドの思想家トマス・モア(Thomas More)の対話篇『Dialogue of Comfort against Tribulation』(1534年執筆・1553年刊)などに原型が見出されます。西欧の農業地帯において、水難事故の現場近くに浮遊していた最も身近で軽薄なゴミの象徴が「麦藁(straw)」でした。

溺れる者は藁をも掴む 英語表現のバリエーションとしては、動詞に「clutch」「catch」「grasp」などが用いられます。

・A drowning man will clutch at a straw.(ことわざ形)
・grasp at straws / clutch at straws(成句:「無駄と知りつつ悪あがきをする」「藁にもすがる」の意)

明治期、西洋の言語や文化が急速に流入した際、翻訳家たちがこの英語表現を直訳し、日本語の言論空間に定着させました。江戸時代以前の日本語には「溺るる者は浮き木を掴む」といった表現が存在したものの、外来格言の浸透に伴い「藁」という極端な比喩が広く親しまれる結果となったのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。