ネット上の掲示板などで「冷却水が減ったら水道水を足せば十分」「真水を入れても問題ない」という書き込みを見かけることがありますが、これは重大な誤解を招く危険な情報です。
緊急時に冷却水が空になり、周囲にLLCがない状況での「一時的な避難用」として水道水を補充することはやむを得ません。しかし、水道水には塩素やカルシウム、各種ミネラル成分が含まれており、高温下でエンジン内部を循環すると激しいサビの発生やスケール(水垢の結晶)の固着を引き起こします。これにより、ラジエーターの極細チューブが一気に目詰まりを起こします。
また、真水は0℃で凍結するため、冬場に体積膨張を起こしてラジエーター本体やエンジンブロックを物理的に破壊(凍結割れ)させます。水道水で応急処置をした場合は、速やかに整備工場で冷却ラインのフラッシング(洗浄)と規定濃度のクーラント液再充填を行わなければなりません。
日常的なラジエーター清掃メンテナンスとしては、フィンの間に詰まった虫の死骸や落ち葉、泥汚れを定期的に低圧の水流で洗い流すことが推奨されます。ただし、洗車用の高圧洗浄機を至近距離から直接吹き付けると、アルミ製の薄い放熱フィンが簡単にグニャリと曲がり、かえって冷却風の通り道を塞いでしまうため厳禁です。
【プロの結論】愛車の年式と走行距離に応じた最適なメンテナンス判断基準
冷却系トラブルによる立ち往生を未然に防ぐため、愛車の状態に合わせた以下の判断基準を参考にしてください。
▼ 優良社外品・リビルト品での「予防的本体交換」をおすすめする車両:
初年度登録から9年以上が経過、または走行距離が9万kmを超えている車です。アッパータンクの色が黒から茶色・オリーブ色に変色している場合、プラスチックの強度は限界に達しています。遠出先でのレッカー搬送リスクを考えれば、車検時に数万円を投じてリビルト品へ予防交換しておくことが最もコストパフォーマンスに優れた防衛策です。
▼ 部分補修を避け、全体刷新を検討すべき車両:
「ホースバンド付近から漏れているからホースだけ交換する」「アッパータンクだけ接着剤で固める」といった部分補修は、別の劣化した弱い部位(ロアタンクやヒーターホース)へ圧力が逃げて二次漏れを誘発します。走行10万kmを超えた車両では、ラジエーター本体・上下ホース・サーモスタット・ラジエーターキャップの「冷却系4点セット一括交換」が結果的に最も安上がりで安全です。