ネット上の情報では「年中いつでも完璧な夕日が見られる」と短絡的に語られがちですが、ここには見落としてはならない2つの科学的・地理的盲点が存在します。
第一の盲点は、季節による日没方位の劇的な変動です。瀬戸田サンセットビーチは西向きに開けていますが、夏至の時期は北西寄りに太陽が沈むため、正面の海ではなく右手前方の高根島や大三島の山陰に日が落ちていきます。逆に冬至に近づくと南西寄りに沈み、対岸の島々の間隙や稜線へと消えていきます。海原の隙間に太陽が落ちる「真紅の海面反射」を純粋に狙うのであれば、春分・秋分前後の時期(3月・9月〜10月)が天文学的なベストアングルとなります。季節ごとの日没軌道を把握せず訪れると、「島影に太陽が隠れてしまい期待した日没と違った」という落胆につながりかねません。
第二の盲点は、瀬戸内海特有の干満差(潮位トラップ)です。瀬戸内海は中潮・大潮の干満差が最大で3メートル前後に達することがあります。干潮のピーク時には沖合深くまで潮が引き、白砂のビーチが広大な干潟状に変貌します。水深が極めて浅くなるため、SUPのフィンが海底に接触して出艇エリアが制限されたり、海水浴の遊泳エリアまで長い距離を歩く必要が生じます。透明度の高い海を満喫したい、あるいはSUPクルージングを快適に行いたい場合は、事前に尾道・瀬戸田エリアの「潮見表(タイドグラフ)」を確認し、満潮前後の時間帯を軸に行動計画を組み立てることが不可欠です。