事態が動いたのは今春のことだ。東京大学の史料編纂所が発表した中間報告は、学会のみならず世間を震撼させた。見つかったのは、日本橋の薬種問屋が記した約40年分の記録。そこには、犬の保護施設「御用屋敷」の運営実態が克密に書かれていた。驚くべきことに、病気の犬には獣医師がつき、食事のメニューも管理されていたという。だが、それだけではない。記録は、野犬の凶暴化から町民を守るための「隔離政策」としての側面を強く示唆している。つまり、犬を溺愛したからではなく、治安維持の現実的な手段だったのだ。
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