映画『パシフィック・リム』で芦田愛菜が演じたのは、菊地凛子演じるヒロイン・森マコの幼少期です。物語の核心である人型巨大兵器「イェーガー」は、2名のパイロットが神経を接続する「ドリフト」と呼ばれるシステムによって操縦されます。その同調プロセスの中で、主人公ローリーがマコのトラウマに満ちた過去の記憶へと迷い込む回想シークエンスにおいて、芦田愛菜は登場します。
舞台は怪獣「オニババ」によって壊滅的な被害を受けた東京の市街地。崩壊したビル群の中、片足の赤い靴を胸に抱きしめ、泥と涙にまみれながら一人逃げ惑う幼少期のマコ。怪獣の巨大な影が迫る中、恐怖に震え、声を詰まらせて号泣する迫真の泣くシーンは、CGや特撮の迫力を超えて観客に凄まじい緊迫感と胸を締め付けられるような痛切さを与えました。
作中における芦田愛菜の実質的な出演時間は約5分から7分程度に過ぎません。しかし、マコというキャラクターがなぜ命を賭して怪獣討伐に執念を燃やすのかという「動機の根源」を完璧に観客へ納得させる、極めて重要な役割を果たしました。