集落の入り口や辻、境内の手前に立つ神社常夜燈の由来は、神前を照らし続ける「神火」への信仰に端を発します。古代から火は穢れを祓い神性を呼び寄せる霊物とされ、神社仏閣への献灯は信徒にとって最大の現世利益をもたらす功徳でした。
この民間信仰が爆発的な広がりを見せた契機が、江戸時代中期以降に大流行した「金毘羅参り」と、各地に結成された「金毘羅講(こんぴらこう)」の存在です。香川県の金刀比羅宮は航海安全の守護神として知られますが、遠方で直接参拝できない人々が、地元に金毘羅常夜燈を建立し、そこへ向けて祈りを捧げました。
現在でも街道常夜燈巡りを行うと、竿の部分に「金毘羅大権現」や「秋葉山大権現(火防の神)」と力強く刻まれた石柱を頻繁に目にします。これは単なる個人の寄進ではなく、宿場町の商人、飛脚問屋、あるいは村中の世帯がわずかな銅銭を積み立てて造立したものでした。旅人はこの竿の銘を見ることで、自分が今どの街道におり、次の宿場までどれほどの距離があるかを把握するランドマーク(道標)として頼りにしていたのです。