矢野顕子と大貫妙子、響き合うふたりの天才が明かす伝説と最新共演

矢野顕子と大貫妙子、響き合うふたりの天才が明かす伝説と最新共演

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ふたりの音楽的交流を語る上で欠かせないキーパーソンが、稀代の音楽家・坂本龍一である。矢野と大貫双方の作品においてプロデューサーや編者、シンセサイザー奏者として深く関わった坂本は、ふたりの美学を最も近くで理解し、時にその架け橋となった。坂本の手がけた緻密なアレンジメントは、大貫の透明感あふれる声に静溢な陰影を与え、矢野の爆発的なインプロヴィゼーションに明晰な構造を与えた。

1980年代半ば、坂本やプロデューサーの宮田茂樹らと共に立ち上げたインディペンデントレーベル「株式会社ミディ(MIDI)」の時代は、ふたりにとっても特別な黄金期だった。大手レーベルの制約から離れ、純粋に「自分たちが納得できる音」を追及できる環境の中で、スタジオのロビーでは連日のように音楽談義が交わされていたという。当時のスタッフはこう証言する。「大貫さんが持ち込んだデモテープの美しさに矢野さんが目を輝かせ、その場でピアノのコードを添えていく。言葉を交わさずとも音が会話していた」――ミディ時代に培われた絶対的な信頼関係こそが、今回の2026年プロジェクトの底流にも脈々と流れている。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。