馬賊に関してインターネット上で時折見かけるのが、「麺が太すぎてラーメンというより讃岐うどんや団子に近いのではないか?」という指摘だ。これは半分正解であり、半分は決定的な誤解である。
第一に、うどんと馬賊の手打ち麺では小麦粉の配合と「かんすい」の有無が決定的に異なる。かんすいがもたらす独特の風味とアルカリ性のグルテン構造は、噛んだ瞬間に跳ね返るような弾力と特有の歯切れを生み出す。太さの視覚的インパクトから「うどん」と連想されがちだが、スープを吸ったときの表情や喉越しは正真正銘の中華拉麺の頂点だ。
第二の誤解は、「麺の太さがバラバラなのは調理のムラではないか」という疑問だ。これも大きな誤解である。職人が手伸しで作る麺は、中央部が平打ち状になり、端が細くなる。この1杯の丼の中に存在する無数のグラデーションこそが、一口ごとに異なる噛み応えとスープの持ち上げを生み出す計算された不揃いさなのだ。
均一にカットされた工業用ストレート麺では絶対に到達できない「食感の起伏」こそが、馬賊を唯一無二の存在に押し上げている理由に他ならない。