この「視線の揺らぎ」を、計算し尽くされた表現芸術へと昇華させたのが日本のトップ俳優たちだ。
空前の大ヒットを記録したTBSテレビの金曜ドラマ『VIVANT』。主演を務めた堺雅人の演技力は、まさに視線演出の最高峰と言える。彼が演じた主人公の二面性、真実と偽りが目まぐるしく交錯する極限状態において、カメラが捉え続けたのは絶妙な目線の泳ぎだった。
一般的な演技であれば、動揺は大げさな身振りや声の抑揚で表現されがちだ。しかし堺雅人は違う。瞳のわずかな揺らぎ、焦点を合わせる瞬間のコンマ数秒の遅れによって、キャラクターの内面で渦巻く疑念や葛藤を克明に提示した。視聴者は彼の視線ひとつで「この言葉は本心か、それとも演技か」と深く引き込まれていく。言葉以上に視線が物語を引っ張る、極上の映像体験だった。