「明日からもう1日も会社に行けない。初診で今日すぐに診断書を出してほしい」という切実なニーズに対し、医療現場の対応は二極化しています。果たして初診で診断書はもらえるか、現場の運用実態を検証します。
結論から言えば、適応障害の診断書即日発行が認められるケースは実在します。ただし、それには医師が「今日ただちに就労を停止させなければ、自傷他害や生命の危機、または回復不能な心身の破綻が生じる」と判断するだけの明白な客観的証拠が揃っていることが前提条件です。具体的には、重度の不眠による意識混濁、著しい体重減少、明確な希死念慮(死にたいという衝動)が確認される場合です。
一方、近年都市部を中心に「初診・即日診断書発行」を大々的に宣伝するクリニックが乱立し、議論を呼んでいます。こうしたクリニックでは患者側の要望に沿って即座に診断書を発行する傾向がありますが、診察が数分で終わるなど形式的な対応になりがちで、その後の根本的な治療や復職支援が疎かになるリスクを孕んでいます。対照的に、地域に根ざした総合病院や経験豊富なベテラン精神科医ほど、初診時は投薬や生活指導にとどめ、「2回目の再診時(1〜2週間後)の経過を見て診断書を書く」という慎重なスタンスを崩しません。
現在、精神科医療における心療内科の初診予約と評判を調査すると、評価の高い医療機関ほど初診の予約枠が2週間から1カ月先まで埋まっているのが実情です。「今すぐ休みたい」という焦燥感と「初診予約が取れない・初診ではすぐ書いてもらえない」という医療供給のギャップが、患者の孤立を深める要因となっています。