『涙そうそう』の歌詞を紐解く上で欠かせないのが、作詞を担当した森山良子の若くして旅立った実兄への思いです。森山氏には、幼少期からとても仲が良く、音楽活動でも常に精神的な支柱となっていた2歳上の兄がいました。しかし、その最愛の兄は20代という若さで病に倒れ、急逝してしまいます。
突然の別れから長い歳月が経っても、ふとした瞬間に兄の面影を探してしまう悲しみを抱えていた森山氏。BEGINから届いたデモテープの切ないメロディを聴いた瞬間、胸の奥底にしまい込んでいた兄への追悼の感情が一気に溢れ出し、わずかな時間で歌詞を書き上げたと語られています。
「古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた」「晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔」という一節には、単なる別れの悲壮感だけでなく、出会えたことへの深い感謝と、今も見守ってくれている存在への祈りが込められています。この普遍的な人間愛のメッセージこそが、聴く人の境遇を問わず深い共感を呼ぶ理由です。