酒単体でも完結するカルヴァドスですが、適切な食材と掛け合わせることで真価を発揮します。ペアリングの基本原則は「同じ産地のものを選ぶ(テロワールの同調)」と「香気成分の類似性を突く」の2点です。
最たる成功例がカルヴァドスとチーズの相性です。カルヴァドスの故郷ノルマンディーは、世界的な乳製品の産地でもあります。特に同郷の代表格である「カマンベール・ド・ノルマンディ」や、塩水やシードルで洗い熟成させたウォッシュチーズの雄「リヴァロ」「ポン・レヴェック」は別格のマリアージュを見せます。チーズの放つ強い発酵香と濃厚なミルクの脂分を、カルヴァドスのしっかりとした酸味とアルコールが心地よく洗い流し、口の中で熟成林檎ジャムを乗せて食べたかのような芳醇な旨味へと昇華させます。
甘味とのペアリングも見逃せません。焼き菓子の「タルトタタン(林檎のタルト)」やアップルパイとの相性は疑う余地がありませんが、カカオ分70%以上のビターチョコレートや、ドライイチジク、シナモンを効かせたナッツ類とも互いの風味を引き立て合います。