ネット用語としての「【悲報】」の原型は、2000年代後半から2010年代初頭にかけてのなんでも実況J板(なんJ)で形作られました。もともと過疎板だったなんJは、2009年の「避難民流入」を機にプロ野球実況のメインステージへと変貌を遂げます。試合の戦況や選手の移籍、怪我などの最新情報をリアルタイムで共有する過程で、情報のインパクトを瞬時に伝えるためのタグとして「【速報】」「【朗報】」「【悲報】」が頻繁に使われるようになりました。
当時のなんJにおける「悲報」は、主に贔屓球団の敗戦や主力選手の離脱、手痛いエラーといった野球関連のニュースを自虐的に嘆くためのスレタイでした。文字数制限のある一覧画面の中で、いかに短く感情と事実を伝えるかという実況板特有のスピード感が、角括弧で囲むスタイル(【悲報】)を定着させた決定打です。
そこから次第に、野球以外の時事ニュース、アニメ・ゲームの話題、さらには住民自身の滑稽な日常体験へと対象が拡大していきます。ネガティブな出来事をあえて大げさに「悲報」と銘打つことで笑いに変える独特のコミュニケーションが、なんJ民の間で急速に共有されていきました。