地震の横揺れはなぜ起きる?縦揺れとの違いと長周期地震動の真相

地震の横揺れはなぜ起きる?縦揺れとの違いと長周期地震動の真相

地震の横揺れはなぜ起きる?縦揺れとの違いと長周期地震動の真相の詳細について、専門知識を基に徹底解説します。

「立っていられないほどの横揺れが何分間も続き、高層階のオフィスでコピー機がまるで生き物のように部屋の端から端へ高速移動した」――東日本大震災の発生時、震源から約350キロメートルも離れた首都圏の超高層ビルにいたオフィスワーカーは当時の特番インタビューで青ざめた表情で証言しました。巨大海溝型地震特有の現象として日本中を震撼させたのが長周期地震動です。

地震の規模(マグニチュード)が8や9という超巨大クラスになると、断層の破壊面積は数百キロメートル四方に及び、破壊が完了するまでに数分間もの時間を要します。この巨大な破壊プロセスそのものが、揺れが長く続く原因の第一段階です。小規模な地震であれば数秒で終わるエネルギー放出が、何段階にもわたって連続的に放出されます。

さらに恐ろしいのは地盤による増幅です。関東平野や大阪平野、濃尾平野のように、硬い基盤岩の上に厚い堆積層が重なっている平野部では、遠方から届いた周期の長い揺れが堆積層の内部に閉じ込められ、お椀の中のスープが揺れるように共鳴(盆地共鳴)を起こします。その結果、低層住宅が並ぶ地表では震度3程度の穏やかな体感であっても、ビルの固有周期(建物の高さに比例して長くなる揺れの周期)が地震波の周期と完全に一致した高層ビル内では、最上階の振幅が数メートルに達する激しい横揺れへと変貌します。

SNSや知恵袋などの投稿検証でも、「高層マンションでまるで大型客船の船酔いのような気分の悪さに襲われた」「揺れが収まった後もドアが枠に噛んで開かなくなった」といった生々しい悲鳴が確認されています。気象庁が2023年2月から運用を開始した「長周期地震動階級」では、最も深刻な「階級4」において『人が這わないと動くことができず、キャスター付き器具が大きく移動する』と定義されています。高層階に住む・働く人々にとって、遠くの地震による横揺れは決して対岸の火事ではありません。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。