甲殻類であるエビの口器の構造は、人間の口とは全く異なり、極めて複雑な多重構造をしています。頭部の下側を観察すると、小さなハサミのような器官やヒゲ状のパーツが密集しているのが分かります。これらは大顎(たいがく)、小顎(しょうがく)、顎脚(がくきゃく)と呼ばれる計6対もの器官で構成されており、餌を細かく噛み砕いて口へと送り込む役割を果たしています。
下処理の際によく見かける「口の周りにある黒い塊」に不安を覚える方も多いはずです。このエビの口の黒い部分の正体は、大別して2つあります。1つは口器の隙間や胃袋に残存している未消化の砂泥や餌の残渣、もう1つはエビ自身の硬い殻(クチクラ層)に含まれる天然の色素沈着です。
色素沈着であれば無害ですが、黒ずみが泥由来である場合は確実に料理の味を損ねます。特に泥深い環境で養殖・漁獲された個体ほど口周りに汚れが溜まりやすいため、調理前に流水と専用の器具でしっかりと洗い流すか、口器ごと切除するのが鉄則です。