センターパートを描く際に多くの描き手が陥りがちなのが、「頭部の中心線から左右均等に髪を垂らす」という幾何学的なアプローチです。顔の正中線に沿って真っ直ぐな分け目を引き、そこから左右へ均等に毛束を流してしまうと、まるで海苔やお椀を貼り付けたような不自然な平面的イラストに仕上がってしまいます。
人間の頭部は完全な球体ではなく、額から頭頂部にかけてなだらかな傾斜と起伏が存在します。さらに実際の毛髪は、頭皮から垂直に生えているのではなく、毛根から一度上や斜め前へと「立ち上がって」から重力によって下へと弧を描きます。この根元の立ち上がり(ボリュームゾーン)を無視して頭皮のラインに沿わせてしまうことこそが、ペタッとした古臭い印象を与える根本的な原因です。
また、完全な左右対称(シンメトリー)を目指しすぎることも不自然さを助長します。自然な髪型には、毛束の太さの強弱、重なりの前後関係、わずかな生え癖による非対称性が不可欠です。あえて分け目を完全な真ん中から数ミリずらす、あるいは左右どちらかの毛束に浮き毛を作るだけで、生きた人間の髪らしい有機的な柔らかさが宿ります。